0. はじめに |
Borland C++ Compiler ( BCC ) とは Borland 株式会社が無償で提供している C/C++ コマンドラインコンパイラです。
フリーソフトの BCC Developer と組み合わせれば、趣味で使うのに十分な GUI 統合環境が無料で実現できます。
Visual C++ ( VC ) の MFC にあたるものはないですが、☆は MFC が嫌いで API を直に書くのが好きなので苦になっていません。
このページは、あちこちのサイトを参考にしてまとめた、 BCC 関連ソフトのインストール手順と使い方の自分用メモです。
ここに書いてある通りにすれば☆と同じ環境になり、だいたい使うことができるはずです。OS は Windows XP を想定しています※。
最適ではないかも知れませんが、「とりあえず開発できる環境が欲しい」という方の参考になれば幸いです。
なお、他にもっとよい方法やソフトがあったり、インストールしたことで不具合があっても☆は一切関知しませんのであしからず。
※ Windows Vista / Windows 7 の場合はインストール時に注意。 (2010/07/01 追記)
1. ダウンロード |
1-1. ないと困るもの |
1-1-1. Borland C++ Compiler [ freecommandlinetools2.exe ] ## リンク切れ ##
コンパイラ本体と各種ツール。これがないと始まりません。
ボーランド MyPage というのに登録しないとダウンロードさせてもらえないようです。仕方ないので登録しましょう。
※ 現在は Borland から独立した CodeGear が配布しています。 (2009/05/28 追記)
1-1-2. setbcc [ setbcc15.exe ]
手動でやると面倒な、設定ファイル ( bcc32.cfg、ilink32.cfg ) とパスの設定を支援してくれます。
1-1-3. BCC Developer [ bccdev1221.lzh ]
コマンドラインツールである BCC を GUI で使うための統合環境を実現してくれます。
1-1-4. BCCForm and BCCSkelton [ bccform.exe ]
BCC Developer 用のリソースエディタ。ウィンドウズプログラミングで窓をデザインするときに使います。
1-2. あると便利なもの |
1-2-1. Turbo Debugger [ freeturbodebugger.exe ] ## リンク切れ ##
Borland 株式会社が無償で配布しているもうひとつのツール。プログラムの動作をチェックできるはずです。
使えれば便利なんだろうけど使い方がわからない。誰か使いこなし方を紹介する HP 作ってくれないかな。
ボーランド MyPage に登録して、パスワードをメールでもらいます。
※ 現在は Borland から独立した CodeGear が配布しているようです。 (2009/05/28 追記)
1-2-2. Borland C++ Builder 5 product documentation Standard edition [ b5std.zip ] ## リンク切れ ##
英語版 Borland C++ Builder 5 Standard edition 用ヘルプファイル。
BCC にはマニュアルやプログラミングガイドが含まれてないのでこれで代用するのですが、☆はまだ読んだことないです。
1-2-3. Windows API documentation [ win32hlp.exe ]
Windows API のヘルプファイルです。ウィンドウズプログラミングするときに使いこなしたい。
1-3. 場合によっては使うもの |
1-3-1. ctlib [ ctlib103.lzh ]
BCC 付属の tlib のコマンド指定を容易にしてくれます。LIB ファイルを作らない人には関係ないです。
1-3-2. GLUT [ glut-3.7.6-bin.zip ]
OpenGL という 3D グラフィックスライブラリを簡単に使えるようになります。もちろん 2D も描けます。
実験の結果表示などに気楽に使えます。グラフィックスしない人には関係ないです。
1-3-3. The OpenGL Utility Toolkit (GLUT) Programming Interface [ glut-3_spec.pdf ]
GLUT に関するドキュメントです。グラフィックスしない人には関係ないです。
2. インストール |
2-1. ないと困るもの |
2-1-1. Borland C++ Compiler
1. freecommandlinetools2.exe をダブルクリックしてインストール。デフォルトは C:\borland\bcc55。
2. setbcc15.exe を適当なフォルダでダブルクリックして解凍。
setbcc.exe を実行して設定。作業内容については付属の readme.txt を参照。src フォルダは不要。
一旦設定したら、setbcc 関連は削除してしまってかまいません。
2-1-2. BCCForm
1. setbcc15.exe をダブルクリックして解凍。解凍先のデフォルトが D:\BCCForm だけど気にしない。
2. C:\Program Files\Borland\BCCForm に解凍されるので C:\Program Files\BCCForm に置く ( 好みの問題です ) 。
2-1-3. BCC Developer
1. bccdev1221.lzh を解凍して、C:\Program Files の下に置く。
2. BccDev.exe のショートカットを、使いやすい所に作成。
3. コンパイラに bcc を選択 ( C:\borland\bcc55\Bin\bcc32.exe ) 。
リソースエディタに BCCForm を選択 ( C:\Program Files\BCCForm\BCCForm.exe ) 。
2-2. あると便利なもの |
2-2-1. Turbo Debugger
1. Borland 株式会社からメールでもらうパスワードが必要です。
freeturbodebugger.exe をダブルクリックしてインストール。デフォルトは C:\borland\bcc55。
2. [スタートメニュー]-[プログラム]-[アクセサリ]-[コマンド プロンプト] でコマンドプロンプトを起動。
"> td32" でデバッガを起動。CUI と GUI のあいのこみたいのが出てきます。
下の方にこっそりバージョンダイアログが出ているので、見つけ出して OK を押してください。
3. 表示を日本語に設定。
[Options]-[Display options...]-[Quick reference]-[Japanese]-[OK]
[Options]-[Save options...]-[Save Configuration]-[Options]-[OK]
4. 終了方法は [File]-[Quit] ( ×で閉じようとすると終了できない旨のメッセージが出る ) 。
5. BCC Developer を起動し、[ツール]-[環境設定] を開く。
デバッカに td32 を選択 ( C:\borland\bcc55\Bin\TD32.EXE ) 。
2-2-2. Borland C++ Builder 5 product documentation Standard edition
1. b5std.zip を解凍して、C:\borland\bcc55\Help 以下にフォルダごと置く。
2. Bcb5.hlp が BCB5 ヘルプの総合目次。ショートカットを作って C:\borland\bcc55\Help に置く。
2-2-3. Windows API documentation
1. win32hlp.exe をダブルクリックしてインストール。デフォルトは C:\lcc\bin。
2. win32.hlp を C:\borland\bcc55\Help に置く。他のファイルは不要。
2-3. 場合によっては使うもの |
2-3-1. ctlib
1. ctlib103.lzh を解凍して、ctlib.exe を C:\borland\bcc55\Bin に置く。
2-3-2. GLUT
1. glut-3.7.6-bin.zip を解凍する。
2. glut.h の 146 行目「extern _CRTIMP void __cdecl exit(int);」をコメントアウト ( 頭に // をつける ) 。
使うときは、glut.h より前に stdlib.h か windows.h を include します。
# これは、拡張子が .cpp のときの関数のオーバーロードエラー対策です。
3. コマンドプロンプトを起動。カレントディレクトリに一旦 glut32.dll を置く。
例えば "C:\Documents and Settings\star>_" とか出てたら、その star がカレントディレクトリです。
そして "> implib glut32.lib glut32.dll" で新しく glut32.lib を生成。
# これは、VC 用の coff 形式と BCC 用の omf 形式に互換性がないのでもとの glut.lib が使えないためです。
# implib とは、DLL ファイルから直接 BCC 用の LIB ファイルを生成する BCC 付属のツールです。
# 他に VC 用の LIB ファイルから BCC 用の LIB ファイルを生成する coff2omf というツールもあります。
4. glut.h ( 2. で編集したもの ) を C:\borland\bcc55\Include\Gl に置く。
glut32.lib ( 3. で生成したもの ) を C:\borland\bcc55\Lib\PSDK に置く。
glut32.dll を C:\WINDOWS\system に置く。他のファイルは不要。
2-3-3. The OpenGL Utility Toolkit (GLUT) Programming Interface
1. ダウンロードした glut-3_spec.pdf を C:\borland\bcc55\Help に置く。
3. 使ってみよう |
3-1. きほんの「き」 |
1. BCC Developer を起動します。
2. プロジェクトの作成。
[ファイル]-[新規作成] か "新規作成" アイコンで、新規作成ダイアログを出します。
[ ... ] を押してディレクトリを選択し、プロジェクト名を入力し、OK を押します。
例えばディレクトリをあらかじめ作成しておいた "C:\myprogram" にし、プロジェクト名を "test" にすると、
C:\myprogram の下に test というフォルダができ、その中に test.bdp というプロジェクトファイルができます。
全角文字を含まない場所にしてください。( C:\Documents and Settings\star\デスクトップ\myprogram などは NG )
3. C/C++ ファイルの追加。
引き続き [ファイル]-[新規作成] か新規作成アイコンで、今度は C/C++ ファイルの新規作成ダイアログが出ます。
例えばファイル名を "main.cpp" にして OK を押すと、main.cpp が test フォルダに作られ、
プロジェクトに追加され、編集画面に開かれます。
また、あらかじめ書いておいた C/C++ ファイルがあるならばそれを test フォルダに置き、
[プロジェクト]-[プロジェクトに追加] か"プロジェクトに追加"アイコンでプロジェクトに追加します。
左のプロジェクトツリーに表示されるのでそれをダブルクリックすると編集画面に開かれます。
4. プロジェクトの設定。
[プロジェクト]-[プロジェクト設定] か "プロジェクト設定" アイコンで、プロジェクト設定ダイアログを出します。
注意すべきはアプリケーションタブのターゲットと、リンクタブのライブラリファイルの指定です。
コンソール ( main 関数で始まる ) と Windows ( WinMain 関数で始まる ) はうっかりしやすいです。
また、LIB ファイルを使うときライブラリファイルの指定をしないとうまくいかない場合があります。
アプリケーションタブの現在のプロジェクト構成の Debag/Rerease はあまり気にしなくていいです。
Debag だとビルド時に Turbo Debugger 用のデバッグ情報が付加され、Rerease だとプログラムのサイズが最適化されます。
その他の項目はデフォルト設定でよいでしょう。
5. コンパイル、ビルド、そして実行。
[プロジェクト]-[メイク] か "メイク" アイコンで、コンパイルとビルドが行われます。
下のメイク結果にその進行状況が表示されます。エラーが報告されなければ成功です。
[実行]-[実行] か "実行" アイコンで、いまビルドされたプログラムを実行します。ちゃんと動いた暁には達成感をかみしめましょう。
3-2. コンソールプログラムを作ろう |
キーボード入力を待ち受けるだけのサンプルです。[ console_star.zip ]
プロジェクトまるごとの詰め合わせなので、解凍してプロジェクトファイルをダブルクリックすれば開けます。
なお、C のプログラムであっても☆は拡張子を .cpp ( C++ ) にするのが意味なく好きです。
詳しい勉強は猫でもわかるプログラミング C 言語編でどうぞ。
3-3. ダイアログベースでウィンドウズしちゃおう |
ボタンも何もない、のっぺらぼうのサンプルです。[ DlgMain_star.zip ]
なぜダイアログベースかというと、普通のウィンドウズプログラミングでは窓の生成がめんどくさいからです。
参考に、普通にやった場合のサンプルも置いておきます。[ WinMain_star.zip ]
[プロジェクト]-[リソーススクリプトファイル] か "リソーススクリプトファイル" アイコンで、BCCForm が起動できます。
ボタンやエディットボックスなどをつけてみてください。
詳しい勉強は猫でもわかるプログラミング Windows SDK 編でどうぞ。
3-4. GLUT でグラフィックしよう |
なぜか専用の関数が用意されているティーポットのサンプルプログラムです。[ glut_star.zip ]
PageUp、PageDown、矢印キーで始点位置を動かしてティーポットを眺め回せます。P で視点位置の表示、Q で終了です。
詳しい勉強は GLUTによる「手抜き」OpenGL入門でどうぞ。
4. 参考にさせていただいたサイト |
bcc5.5.1でフリーの開発環境
http://www.m-n-j.com/town/internet_computer/makuzu/pgf/FreeProg-bcc551.html
Borland C++ Builder/Compilerで,OpenGL(glut)を使う.〜その2
http://homepage3.nifty.com/tosikazu/pch/pchREP7.html
Borland C++ Compiler 5.5 FAQ
http://www.neco.nu/gohodoji/bccfaq.html
GLUTによる「手抜き」OpenGL入門
http://www.center.wakayama-u.ac.jp/~tokoi/opengl/libglut.html
OpenGL3D 導入の始末記(Borland C++ Compilerへ)
http://homepage2.nifty.com/ssfu/others/computer/opengl3d_install.html
猫でもわかるプログラミング
http://www.kumei.ne.jp/c_lang/index.html